口内炎とは?
口の中やその周辺の粘膜で起こる炎症のことを指し、頬の内側や唇の裏側、歯茎や舌など様々なところに発生します。
多くは数ミリ程度の円形、類円形の形状をしており、粘膜の異常は潰瘍やびらん(粘膜のただれ)、水疱や白苔などがありますが、発症原因によって異なってきます。
また数日で治る程度のものから、発熱などの全身症状が伴う場合もあり多岐にわたります。
西洋医学の視点から
<原因>
口内炎には様々な種類があり、原因や症状もそれぞれ異なります。
○はっきりとした原因はわかっていないもの
口内炎の中で多いのが、ストレスや疲れによる免疫力の低下、睡眠不足、栄養バランスの乱れや、女性の場合はホルモンバランスの乱れなどによりできるといわれている「アフタ性口内炎」です。
円形状で白っぽい潰瘍で、複数個できる場合もあります。普通は10日ほどで自然に消滅します。
○物理的な刺激によるもの
外傷や熱傷などによる口内炎。頬の内側を噛んでしまったり、熱いものを飲んだり食べたりした場合や、合わない義歯や被せ物などによって、粘膜に傷ができることでその部位に口内炎を生じることがあります。「カタル性口内炎」と呼ばれます。
○感染によるもの
ウイルスや細菌、真菌に感染することで口内炎を発症することがあります。
ウイルス感染によるものでは、単純ヘルペスウイルスによる「ヘルペス性口内炎」があります。
飛沫感染や接触感染によって感染します。口腔内に水疱や潰瘍ができ、多数の口内炎が発生します。
歯茎から出血しやすくなり、症状が2週間程度続きます。
また、真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌は口腔内に常在しますが、免疫力が低下することで増殖し「カンジダ性口内炎」を発症することがあります。
白い苔のようなものが口腔内に広がり、白い苔のようなものがはがれて炎症が起きると痛みや出血を伴う場合があります。
そのほかにも、喫煙の習慣による「ニコチン性口内炎」や、ベーチェット病、クローン病や全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患により、アフタ性口内炎や潰瘍性口内炎を生じることもあります。
また、薬や金属、特定の食べ物でアレルギー症状が起きる「アレルギー性口内炎」などもあります。
<西洋医学的治療>
口内炎の治療はその原因によって異なります。
○はっきりとした原因はわかっていないもの
自然に治ってしまうことが多いですが、病院で処方された軟膏や市販薬を使う場合もあります。
○物理的な刺激によるもの
粘膜に刺激を与えている原因となっている、義歯や被せ物を調整したり、作り直したりすることで粘膜に刺激が加わらないようにします。
○感染によるもの
それぞれに対応した抗ウイルス薬、抗真菌剤を病院で処方してもらうことにより、ウイルスやカビの増殖を抑える治療を行います。
口内炎が長期的に治らない場合や繰り返し口内炎が発生している場合、広範囲に広がっている場合や、発熱などの全身症状を伴う場合などは医療機関で診てもらいましょう。
<予防>
口内炎ができる原因は様々ですが、口の中を清潔に保ち、乾燥による細菌の繁殖を抑えるために水分補給を行い、食事の際はよく噛んで唾液の分泌量を増やします。
免疫力を高めるためにストレスや疲れをためないようにして、十分な睡眠をとることも大切です。
食生活を見直すことで栄養バランスの整えます。特に粘膜に良いビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCを摂取します。
東洋医学の視点から
<原因>
中国の昔の書物に「脾は口に開竅する」とあります。
東洋医学でいう五臓の中のひとつ「脾」の状態が口に反映されるとのことです。
「脾」は飲食物を消化吸収して、気や血に変えて全身に送る働きがあるといわれています。
また、脾の働きが弱くなることを「脾虚」といい、脾虚が進行することで体が冷えてくるといわれています。
つまり、体が冷える(血の巡りが悪い)と口内炎などの症状が現れやすいということになるわけです。
他にも「心は舌に開竅する」ともあります。
こちらも五臓のひとつ「心」の状態が舌に反映されるとのことですが、精神状態が口の中の舌に影響を与えるため、ストレスを溜め込まないようにすることも大事になります。
<東洋医学的治療>
体が冷えないよう、血の巡りを良くしていくために、お灸で温めたり、鍼やあん摩・指圧・マッサージなどの手技を施し、気血の巡りを良くすることで五臓の「脾」の機能を高めます。
<予防>
東洋医学の基本である未病治(病気になる前に体の状態を整える)を目指して、体を冷やさない、食事の栄養のバランスをとる、ストレスを溜め込まないことで、人が本来もつ自然治癒力を高めていきます。
まとめ
口内炎がひどくなると痛みが強くなり、食事を摂るのも困難になり生活に支障が出るため、原因を見極めて適切な対応をとることが必要になります。
免疫力が低下していることで口内炎も発生しやすくなるため、口内炎が発生したら体からのサインと考えて生活を見直していきましょう。