眼精疲労とは?
目の使い過ぎにより、目の疲れや痛みが休息や睡眠をとっても容易に回復しない状態を指し、単なる目の疲れでる眼疲労とは区別されます。
その他にも目の症状として、目が重い、まぶしい、しょぼしょぼする、ぼやける、かすみ目、目の充血、まぶたがけいれんする、涙がよくでる、目の乾きを感じることもあり、さらには全身の症状として、頭痛、首や肩のこり、倦怠感、イライラ、めまい、吐き気などの症状が伴う場合もあります。
西洋医学の視点から
<原因>
眼精疲労の原因は様々な要因があります。
例えば、目の酷使。目にはものを見る際に焦点を合わせる働きをする水晶体というものがあり、その厚さを調整する毛様体筋に負担がかかることで眼精疲労の原因になります。
私達は情報化社会のなかで、長時間のパソコンやスマートフォン等の使用が増えてきており、VDT症候群(*1)と呼ばれるものを発症される方もでてきています。
*1)VDT症候群(Visual Display Terminals)
コンピューターのディスプレイなどを使用した作業を長時間続けることにより、身体的疲労などの自覚症状がみられること。
他にも、遠視、近視、乱視、老眼が適切に矯正されていない場合や、ドライアイ(*2)、白内障、緑内障などが原因の場合もあります。
*2)ドライアイ
目の表面を保護する涙の層のバランスが崩れて、目の乾燥に伴う目や視力の異常がみられること。
また、精神的なストレス、高血圧、糖尿病、など重なって症状が悪化する場合もあります。
原因が多岐に渡るため、それぞれに合った方法で対応していく必要があります。
<西洋医学的治療>
屈折異常により眼精疲労が発症していると考えられる場合には、眼鏡やコンタクトレンズによる視力矯正により目の負担を軽くしたり、現在使っている眼鏡やコンタクトレンズの矯正が適切かどうか確認します。
その他にも、ビタミンB12などの点眼薬の使用が検討されることもあります。
<予防>
~生活スタイルや環境の改善~
○パソコンやスマートフォンを使用する場合は、こまめに休憩をとって目を休めることが大事です。また、照明の明るさや姿勢も重要です。
○空調の風が目にあたることやまばたきが極端に少ないことで目が乾燥し、ドライアイの原因にもなります。
○当然ですが、眠っている間は目を使わないので、睡眠を十分にとって目を休めましょう。
~温める~
まぶたを閉じて、蒸しタオルなどをのせて目を温めることで、毛様体筋の緊張を緩めることができます。
~運動する~
眼球を上下左右動かしたり、一周させるなどして目の体操を行います。
~ストレスの緩和~
息抜きをしてストレスを解消しましょう。ストレスがあると自律神経(*3)に影響が起こり、眼精疲労の原因になります。
*3)自律神経
自らの意思とは関係なく、内臓や血管の働きやなどの機能をコントロールする神経で、目のピントを合わせるのに影響している。
~栄養~
ビタミンB群は神経の働きを高めて目の粘膜を正常に保つのに役立ちます。
○ビタミンが多く含まれる食材の一例
ビタミンB1:玄米、豚肉(ひれ、もも)、豆腐 など
ビタミンB2:豚レバー、うなぎ、卵、乳製品、納豆、ホウレンソウ
ビタミンB6:かつお、まぐろ、豚ひれ、鶏(ささみ、レバー)、バナナ、玄米
ビタミンB12:魚介類(かき、あさり、さば、ほたて、ほっけ、あじ、しじみ)
東洋医学の視点から
<原因>
中国の昔の書物に「肝は目に開竅(かいきょう)す」とあります。東洋医学でいう五臓の中のひとつ「肝」の状態が目に反映されるとのことです。
「肝」は血を蓄える場所といわれますので、血が不足した状態(東洋医学でいうところの肝血虚)になると眼精疲労などの目の異常になって現れると考えられています。
<東洋医学的治療>
血の流れを良くして肝への血不足を改善するよう鍼、灸、指圧、あん摩、マッサージなどの施術をします。
ツボを刺激する。強く押しすぎないように注意して、気持ち良さを感じる場所を押圧します。
眼精疲労の効果的なツボとしては
○目の周りのツボ
「太陽」:眉尻と目尻の間からやや外側のすこしくぼんだ場所
「晴明」:目頭の内側
「承泣」:目の下の骨の真ん中
「攅竹」:眉毛の内側の端
○首のうしろ側のツボ
「風池」:頭の後ろ、髪のはえぎわ、ふくらんだ筋肉の外縁のくぼみなどがあります。
<予防>
東洋医学の基本である未病治(病気になる前に体の状態を整える)を目指して、体と心のバランスを保つことで、血の巡りを良くしていきます。
まとめ
あなたにとって、五感(聴覚、触覚、味覚、嗅覚、視覚)の中で一番大切なものは何でしょうか?
もちろんすべて大切なものですが、あえてひとつ選ぶとすれば、「視覚」と答える方が多いのではないでしょうか。
人は情報の80%以上を目から得ているといわれるくらい、目を使っています。
「眼精疲労」は環境の変化でもない限り自然には治らないことが多いですので、
適切な対策や治療を行うことで目を保護していきましょう。