疾患について

糖尿病

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糖尿病とは?


糖尿病は大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病に分類され、病因病機からそれぞれ症状が違う。

◆1型糖尿病
「普段より喉が渇く」「頻尿」「疲れがひどい」「急激な体重減少」などが挙げられる。

◆2型糖尿病
「疲労感」「皮膚が乾燥して痒い」「手足の感覚が低下またはチクチク刺すような痛み(→手袋靴下型感覚障害)」
「感染症によくかかる」「頻尿」「目がかすむ」「性機能問題」「傷が治りにくい」「空腹感や喉の渇きがひどくなる」などが挙げられる。

西洋医学の視点から

◆1型糖尿病
<原因>

この型は原因不明の特発性と感染症などによる免疫不全から膵臓細胞を破壊してしまう自己免疫性がある。

どちらの原因にしても1型糖尿病は膵臓のβ細胞が障害されることによりインスリンを作る事ができないために起こるのでインスリン依存型と呼ばれている。

子供や青年に多く発生し、世界的には糖尿病全体の約5%が1型であり若い方を中心に幅広い年齢で発症します。

~1型糖尿病は3種類~
①激症1型糖尿病:
最も急激に発症し1週間前後でインスリン依存状態になるタイプ。

糖尿病ケトアシドーシスとなり重篤になる場合があるため早い段階での診断が鍵となる。

血液検査では自己抗体は認めず、血糖値は高いですが発症が急激なためHbA1cは低めである。

②急性発症1型糖尿病:
1型糖尿病の中で最も頻度の高い典型的なタイプで、糖尿病の症状が出はじめてから数ヶ月でインスリン依存状態になる。

発症した後、一時的に残っている自分のインスリンで改善する時期(ハネムーン期)がある方もいるがその後は再びインスリン治療が必要となる。

また、血液検査では自己抗体を認める。

③緩徐進行1型糖尿病:
半年~数年かけてゆっくりとインスリン分泌が低下していくタイプ。

初めは自身で血糖値を抑えられるが、経過中に血液検査で自己抗体が検出され糖尿病だったと分かることもある。

治療はインスリン治療などで膵臓を保護するものとなる。

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◆2型糖尿病
<原因>

この型は遺伝的な影響に加え、食べ過ぎや運動不足、肥満などの生活習慣が原因でインスリン分泌低下、インスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)となことで起こる。

1型と違い中高年の方に多く見られる。症状も現れないことがあり気づかないうちに進行してしまう。

○合併症(特に2型糖尿病に多い)
糖尿病には3つの合併症があり総称して細小血管障害と呼ばれる。

①糖尿病性神経障害:
3つの合併症のなかで最初に出現することが多く、末梢神経障害による手足先端の痺れや感覚の低下、自律神経障害による便秘、起立性低血圧、勃起不全などを引き起こす。

また温痛覚も乏しくなるため他の疾患の自覚症状に鈍感になる恐れがある。

したがって臨床的には心筋梗塞の胸痛、虫垂炎の腹膜刺激症状、低温やけどなどに十分注意することが重要である。

②糖尿病性網膜症:
発症すると、硝子体や網膜の出血が起きるようになり、繰り返すごとに視力が低下する。

生命を脅かす事はないがQOLの視点から重要な合併症である。

また突然失明する恐れがあるため激しい運動療法が禁忌になるため、治療自体の妨げにもなる。

③糖尿病性腎症:
3つの合併症の中で最も最後に出現するが、最終的な寿命に大きな影響を与える合併症である。

最初はごく微量のアルブミン尿のみだが、次第に尿タンパクや浮腫が出現し、最終的には腎不全となり血液透析が必要になるほど重篤化する。


<西洋医学的治療>
糖尿病の治療目的は血糖をコントロールする事で糖尿病がない人と同じ健康寿命を保つ事です。

糖尿病は慢性的に血糖が高くなることにより上記で述べたような合併症にかかりQOLが低下し、それにより寿命に影響する。

血糖のコントロールの仕方は食事、運動が1番大事である。その次に薬療法がある。食事療法で大事なのは毎日のちょっとした心がけである。例えばゆっくり噛む事、3食規則正しく食べる事、腹八分目を意識する事、夜遅く寝る前に食べない事が挙げられる。

糖尿病だからと言って食べてはいけない物はないが高血圧のある方は減塩が必要。あとは炭水化物やタンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンをバランス良く摂取すること。

運動療法はインスリンの効果を高めて血糖値を下げる運動を行う。その運動は有酸素運動と筋力トレーニングがある。

一般的にはややきついと感じるくらいの有酸素運動が推奨されているが筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせるより良い治療効果が期待できる。

有酸素運動はウォーキングやジョギング、水泳などの全身運動。ウォーキングでは、1回15分~30分、1日2回、1万歩が目安となる。

筋力トレーニングは足腰、背中の大きい筋肉を中心に全身の筋肉使い、週2~3回のペースで行うと良い。ただ、血圧が上がるような強度の高い筋力トレーニングを行うと、かえって血管や心臓の負担になってしまうため運動を行う前には医師に相談し、適切なトレーニングの強度を設定した方が良い。

食事療法と運動療法は2型糖尿病の方に対して主に使われている。1型糖尿病の方には主に薬物療法が選択されている。1型糖尿病の方は自分ではインスリンが作れないためインスリンの分泌を促す注射やインスリンそのものを外から補う注射での治療となる。

食事や運動などを厳しく制限することはない。しかし運動時の低血糖には十分注意する。また2型糖尿病の方であっても食事療法と運動療法を行いながら血糖値をみて飲み薬を併用する場合もある。

糖尿病の治療を成功させるコツは継続することである。
糖尿病の治療は治すというよりコントロールすることにある。頑張りすぎず上手に付き合っていくことが大切である。

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<予防>
日本人では糖尿病患者の約90%以上が2型糖尿病であるため、ストレスや肥満、運動不足、暴飲暴食などの生活習慣の乱れが主な原因なため、まずは生活習慣を正すことが大切。

特にカロリーを必要以上摂取しない、食べ過ぎない、インスリンをより多く必要とする食べ物に気をつけるなどの食事と適度な運動、そしてこれらを継続することがとても重要である。

1型糖尿病は原因が確立していないため予防も確立されていない。

東洋医学の視点から

東洋医学的には糖尿病のことを「消渇」と呼ぶ。消渇とは体の消耗が激しく、口渇(のどが渇くこと)が強い症状が特徴。糖尿病がある程度進行すると疲労倦怠感がつよくなり、多飲、多尿、多食となる。

東洋医学的症状で言えば痰湿、瘀血気虚、燥熱となる。そして、消渇を上消、中消、下消に分け、その中で病がどの位置にいるかで症状が違う。

①上消
この部に病がある場合、別名隔消とも言い、多飲だが少食で尿は多く色は薄い。舌は紅色で乾燥、苔は薄黄。脈は頻大である。

②中消
この部に病がある場合、場所は胃にあたり食べると栄養はすぐに燃えるので多食になり尿は黄色。
空腹感、痩せ、便秘、口渇。舌は乾燥、苔は黄、脈は頻滑。

③下消
この部に病がある場合、初めは尿の出が悪く尿線に勢いがなく尿は粘稠性で混濁し進行すると顔色が黒くなる。多尿、頻尿、口舌乾燥、痩せ、冷え性、脱力、皮膚乾燥、めまい、耳鳴り、インポテンツ、月経不順、遺精。
舌は白紅色、苔は白少、脈は頻細、沈弱。


<原因>
①上消

過酷な自然環境や気象、つまり東洋医学的には風寒暑湿燥火の外感六涇により肺が障害され肺陰虚となり発症する。

②中消
食事の不摂生や肉体的な過労で胃や脾を障害することで発症。食事の不摂生とはつまり脂っこい食べ物や甘味の食べ物を多食してしまうと脾胃を障害し続けて熱が発生し胃熱が生まれる。

また過労は脾の機能低下をもたらす。結果2つの要因は脾胃陰虚になり中消を侵される。

③下消
五臓(肝心脾肺腎)虚弱や房事過多により腎精が不足したり、ストレスなどにより心情を障害され肝陰虚と肝の陰分が不足することで肝腎陰虚となり発症。

腎精不足と肝陰不足は密接な関係にある。


<東洋医学的治療>
東洋医学的な治療は主にマッサージや鍼灸を用いて行う。

上消に対しては湿を流して燥を潤す。中消は熱があるため熱を下げる。下消は血を養い熱を除くこと。

また、糖尿病は血糖コントロールがとても重要になってくるが運動療法を行う前に大腿に鍼を打つことで筋の糖吸収を促し、高血糖状態にならないため上手に血糖コントロールを行うことができる。

そして糖尿病の合併症の一つである末梢神経障害にも鍼治療が効果的である。また脾胃の機能を高める効果を持つ経穴を使い血糖コントロールと併用する。

経穴の例は三陰交、足三里、衝陽、胃兪、脾兪、天枢、太渓などが挙げられる。

<予防>
糖尿病で予防が大切なのは東洋医学的視点でも同じである。痰湿や瘀血に繋がる原因を取り除く去痰活血が必要。

まずは運動で新陳代謝を高め肥満を防ぎ、食事は茸や海藻類、大豆、豆腐、緑黄色野菜で血中の脂肪を取り、きくらげや韮で血液を良くする。

また3食バランスの良い食事を心がけ運動も食事も継続することが1番大切である。

まとめ

このように、1型の糖尿病に関しては先天的なものもあり難しい病気ではありますが、2型糖尿病に関しては、運動や普段からの食事のコントロールで予防することが出来ます。

また、東洋医学を用いた治療でも成果は出ていますので、東洋医学的な予防や治療を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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