変形性膝関節症とは?
日常生活で膝関節の軟骨が摩耗することで少しずつ軟骨の摩耗が起こります。
軟骨が摩耗されることに反応して骨が硬くなったり骨が正しくない方向に成長してしまいます。
それによって膝関節の変形や痛み、運動制限を起こす症状です。症状としては椅子から立ち上がるの時に多く、膝の内側に痛みが出ることが多くあります。
症状が悪化すると関節が腫脹したり、膝の輪郭がふめいになります。
また、関節液がたまり膝蓋骨の浮動感がでます。運動制限の多くが痛みのためですが、症状が悪化すると屈曲拘縮をきたします。関節のO型に変形しやすいですが、外反に変形することもあります。
その上、変形することにより大腿部の筋力の低下や萎縮します。そのため階段の降りることがつらくなります。
西洋医学の視点から
<原因>
変形性膝関節症の症状は加齢や筋力、骨密度の低下、関節への過度の負担等によって引き起こされます。
○筋力低下
膝関節の周りには筋肉があり、関節を支える役割をしています。
加齢や運動不足により筋力が低下すると関節の支えが弱くなるため、関節にかかる自重や力が増し、摩耗しやすくなり膝関節が変形しやすくなります。
○骨密度の低下
加齢とともに骨密度は低下しやすくなります。
特に女性は閉経後に急激に骨密度が低下する傾向があります。
骨密度の低下により摩耗しやすくなるため、変形しやすくなります。
○関節への過度の負担
重量物を動かす仕事や日常的に動かす方や、登山や階段等の上り降りや歩行量が極端に多い方、スポーツ選手などで運動量が多い方は関節にかかる負担が大きいため、関節の摩耗が起きやすくなってしまいます。
膝関節周囲の筋力をつけることによってある程度補うことはできますが、負担が強いといくら筋力があっても補いきれない場合もあります。
<西洋医学的治療>
変形性膝関節症の治療は手術と保存療法があり、症状が初期段階の場合は保存療法を使用することが多いです
保存療法の中で最も重要になるのは患部のサポートになります。方法は下記の内容があります。
~生活改善~
膝関節への負担を減らすために体重の減量、杖の使用、長時間立位、歩行制限、正座を避けることなどで悪化を緩和できます。
~理学療法~
仰向けで足のあげる訓練、四頭筋強化トレーニングを行うことで筋力が付き、膝が安定し痛みの緩和につながります。
プールなどでの水中歩行は膝にかかる負担が少なくトレーニングを行うことができます。
~装具(テーピング)~
各筋に対してテーピングを施すことによって、関節が動かしやすくなり足部運動をサポートし、筋収縮を促すことで関節運動を助けることができます。
メリットとして、テーピングは比較的楽に下肢の安定した状態を作ることができます。また、テープのみを使用する為、他の補助器具と比べて費用が安くできます。
ですが、デメリットとして皮膚の弱い方は長時間貼っていることでかぶれてしまう点や、プロの方でないと上手く貼ることが出来ないことが多い点があります。
また、テーピングで誤った貼り方をすると、補助する部分の力が違う方向に働いてしまい、余計な部位に負荷をかけ、ひざの痛みの症状を悪化させるだけでなく、腰の痛みやその他の部位にまで影響を及ぼすことがあります。
ですので、テーピングを理解していないと返って逆効果になることもありますのでテーピングを行う際には、プロの方にしっかりと貼り方を学び実践するか、プロの方に行ってもらう事をお勧めします。
~薬剤~
基本的には外用薬を補助的に使い、鎮痛薬の連用は控えましょう。また、除痛と関節水腫の改善には漢方の防已黄耆湯を使うと改善が見られます。
麻杏よく甘湯を併用するといっそう効果があります。
<予防>
関節変形やそれに伴う痛みが起こらないようにするための予防が大切になります。ここでは、変形性膝関節症を予防するための方法をご紹介します。
◆下腿三頭筋のストレッチ
下腿三頭筋はふくらはぎの筋肉です。下腿三頭筋の柔軟性が増すことで足関節の柔軟性が高まります。
膝関節は歩行やジャンプなどで下肢にかかる衝撃を吸収する役割をしていますが、最も地面に近い足関節(足首)の柔軟性を高め、足関節でもしっかりと衝撃吸収をできるようにすることで膝関節に対する負担を減らすことができます。
①壁など体重を支えられるような場所に両手をついて立ち、どちらかの足を一歩後ろに引きます。
②後ろに引いた足はつま先が進行方向を向くようにまっすぐ置き、膝を伸ばした状態で踵が浮いてしまわないぎりぎりのところまで前に身体を倒します。
③ふくらはぎの筋肉に伸張感を感じながら、壁についた手に体重をかけて20~30秒静止します。
重力に抗して体重を支える「抗重力筋」の中で膝関節に最も関係が深いのが、太もも前面にある大腿四頭筋です。
◆大腿四頭筋のストレッチ
大腿四頭筋がしっかりと力を発揮して膝関節を支えるためにも大腿四頭筋の柔軟性は重要な要素です。
①仰向けに寝て片側の足だけ正座をするように曲げます。
②曲げた方の膝が外に開かないように注意して、ももの前側に伸張感を感じたらそのままの姿勢を20~30秒間保持します。
大腿四頭筋の柔軟性が低くこの姿勢が難しい方は、上半身を完全に倒さず肘を伸ばして手を身体の後ろについて上半身が斜めに起きているような姿勢で行っても構いませんので、慣れてきたら徐々に上半身を倒していきましょう。
東洋医学の視点から
<原因>
変形性膝関節症は下肢痛と膝痛の範囲に属すると考えられています、中高年層の退行性変化として膝関節軟骨の摩耗に始まり、骨の増殖性変化、股関節の変形、半月板の変性,靭帯の変性・弛緩、関節包の肥厚や滑膜の炎症、大腿四頭筋の萎縮などを起すに至ります。
東洋医学では筋肉は脾、腱は肝、骨は腎が司っていると考えます。
膝は経絡の脾経、肝経、腎経が通り、さらに筋肉・腱・骨が集まるところです。よって、肝腎の機能が弱ると、膝に痛みや腫れが生じるのです。
肝腎両虚タイプの特徴としては、重症のものが多く、筋肉のやせも顕著で、歩行が困難になる場合もあります。
また、冷えや湿気が体に影響を与えることで、身体の中で淤血が発生し、血行不良を引き起こすことで酸素や栄養が不足することがあります。
結果、筋肉や他の組織に血行不良を引き起こし、筋力が落ち変形性膝関節症になると考えられます。
<東京医学的治療>
マッサージを行うことで大腿四頭筋や下腿四頭筋を緩めることでひざ周りの筋肉を緩め、症状の緩和を行います。
鍼灸の治療法としてひざ周りにあるツボの鶴頂(膝のお皿の骨の上側、ほぼ中央にあるくぼみ)や犢鼻(膝のお皿の骨のすぐ下、真ん中にあるくぼみ)等に鍼灸を行うことで痛みの緩和を行う事が出来ます。
また、瘀血による血行不良が原因である場合、数か月たっても痛みが取れない場合があります。そんな時は鍼灸の治療法として冷え・湿気などにより被害を受けた身体を立て直すことで瘀血を取り除く方法があります。
膝の周りにある血海(膝のお皿内側から指三本上)や足にある太衝(親指と人差し指の骨の間、指で軽くなぞって自然に指がとまる位置)にお灸すると身体が温まり、ひざ周りの循環を良くすることができ、痛みの緩和が出来ます。
<予防>
変形性膝関節症は肝腎が弱まることで骨や筋肉の機能が落ちることで起こりやすくなると考えられています。つまり、肝腎の機能を上げるためには睡眠が最も重要です。
以下の点を気を付けて寝るとより快眠ができるかと思います。
①早寝を心掛ける。
睡眠は午後10時から深夜2時までが若さを保つホルモンの分泌が特に多く、快眠ができる時間だといわれております。
最低でも11時までに寝るようにするとよいでしょう。
②寝つきを良くし、途中で目が覚めないようにする。
寝る前にぬるめのお風呂に入ることや座ってできる運動などで身体を疲れさせることにより寝つきを良くし快眠を促すことができます。
ただし、過度の運動になると逆効果になりますので注意が必要です。
まとめ
変形性膝関節症はスポーツによる外傷もありますが、筋肉や骨の老化によるものが多くあります。
節度ある食事、睡眠を心掛け身体に栄養を与え、適度な運動、ストレッチをすることで筋力を維持を意識することで症状の予防や緩和が出来ます。日々の生活を大切にし健康な身体を守っていきましょう。