皆様こんにちは。お障りなくお過ごしでしょうか?
このページでは歯周病についてお話させて頂きます。
いまから少し前、昭和の時代までは歯がダメになり
「歯医者さんに行って歯を抜いてもらいましょうね~」
なんていわれる大きな理由は虫歯(う蝕)でした
それから時は流れ平成、そして令和の時代、
日本は益々の情報社会化に伴い人々の健康に対する意識はどんどん高くなり、
虫歯で歯を失う人はメッキリ減りました。
街行く子供たちや若い人を見ても「口の中が虫歯や詰め物だらけ!」なんて事は殆どないと思います。
そして現代、
多くの人が歯を失う原因となっているのは虫歯ではなく
「歯周病」なのです。
「そもそも歯周組織とはなんでしょうか?」
まずはそんなところからお話させて頂こうと思います。
歯周組織は読んで字の如く歯の周りにある組織です。その種類は全部で4つ。
歯を取り囲み歯を支えるあごの骨「歯槽骨」
歯と「歯を支えるあごの骨(歯槽骨)」の2つを線維で結びつける「歯根膜」と「セメント質」
(歯がグラグラしないように歯と骨の間にワイヤーのようにコラーゲン線維を張って固定しているのが歯槽骨とセメント質なんですね!)
歯を外部の刺激から守る「歯肉」
(一般に歯ぐきというところですね!)
この4つを歯が抜けないよう支えてくれる組織、
つまり「歯周組織」といいます。
歯周病は歯ぐき、歯の周りの骨、歯と骨を結び付けるための組織を破壊する病気全般を指した言葉なんです。
歯周病にはプラーク(歯垢)で生じる歯肉炎・歯周炎。噛む力が強すぎることや歯ぎしりに歯周組織が耐えられなくて起こる咬合性外傷などがあります。
歯医者さんで定期的に歯を磨き、歯石を取ってもらうプロのケアはとても大切ですが、歯磨きをあまりしない方は毎日の歯磨きするように心がける、
歯ぎしりや食いしばり癖がある方はそれを治すというように日々の習慣をより良くすることが同じか若しくはそれ以上に皆さんの歯が歯周病で抜けてしまわないようにする鍵となるのです。
~歯肉炎と歯周炎~
それでは次は代表的な歯周病である「歯肉炎」「歯周炎」の違いや特徴などをお話をしていこうと思います。
~歯肉炎とは~
歯肉炎とはプラーク(歯垢)や歯石に含まれる細菌による炎症が歯肉(歯ぐき)に限ったものです。つまりこの段階では先ほど説明しました歯槽骨や歯根膜は破壊されていませんので
歯がグラグラすることはありません。
また原因となるプラークは歯に強く付着し、水溶けにくく、薬品でもなかなか洗い流せませんので、ゴシゴシと歯磨きでこそぎ落とすでのが大切です。
歯肉が赤くなる、歯肉から出血する、歯肉が腫れる、歯肉が腫れたことで歯と歯肉の間に見かけ上のポケットができる(歯肉ポケットの形成)などの症状が見られます。
歯肉炎は歯を磨かない人になりやすく、中学生、高校生くらいの若い人たちに多いとされています。
また全身的な修飾因子、つまりその他に歯肉炎になりやすい理由として「思春期」や「妊娠」といった生活や体のバランスが変化しやすい状態において歯肉炎は悪化するといわれています。これらは「思春期性歯肉炎」「妊娠性歯肉炎」と呼ばれています。
このページを拝見されている10代の方、ご子息・ご息女のいらっしゃる方、妊娠をされている方、妊娠中の奥様がいらっしゃる旦那様は是非一度ご自身やご家族の歯ぐきの状態を
確認してみてはいかがでしょうか?
また原因がプラークに含まれる細菌によらない、原因がまだ解明されていない歯肉炎やヘルペスウイルスによる歯肉炎も存在します。
しっかり歯を磨いているはずなのに歯肉炎がおきる、水泡が出てきて痛いといった場合は歯医者さんによるしっかりとした診断を推奨いたします。
私たちに身近なバイオフィルム
プラークはバイオフィルムともいわれていて、実はシンクの隅にいつのまにかできてるヌメヌメは私たちが目にしたことがある身近なバイオフィルムなんです。 あのヌメヌメは水だけではなかなか落ちませんよね?
シンクのヌメヌメをスポンジで磨くように、歯も水でゆすぐだけでなく、しっかり歯ブラシで磨きましょう!
歯肉炎の歯肉(歯ぐき)とそうじゃない歯肉ってどう見分けるの?
歯肉炎の赤み・腫れは歯と歯の間の三角形の歯肉(乳頭歯肉といいます)から生じることが多いのです。健康な歯肉ならきれいな三角形ですが、
歯肉炎では炎症により腫れや丸みがありブヨブヨとしています。
また、正常な歯肉にはスティップリングというミカンの皮のような小さなへこみがあり、歯肉の腫れによってへこみが消えてしまうと歯肉が炎症している証拠となります。
皆さんも鏡を見て自分の歯肉が健康か確かめてみてください。
~歯周炎とは~
歯周炎は歯肉炎と違い、炎症が歯根膜や歯槽骨にまで及んでしまったもので歯槽骨吸収(歯の周りの骨が溶けて支えを失うこと)によって見かけのポケットではない真正の歯周ポケットが形成されます。
このため歯がグラグラしてきます。
皆さんが一般的にイメージされる「40代・50代頃から歯がグラグラしてくる」という歯周炎を慢性歯周炎といいます。
原因は一般的な歯肉炎と同じくプラーク(歯垢)や歯石です。
また、プラーク以外の様々な要因が歯周炎を悪化させるリスクファクター(危険因子)となります。
歯周炎の最たるリスクファクターとなるのが喫煙(タバコ)です。
タバコに含まれるニコチンは末梢血管(腕・足・指先をはじめとした心臓から離れた血管)を収縮させることで歯肉への血流量を低下させます。
歯肉への血の巡りが悪くなることで、本当は歯周病が進んでいるのに歯ぐきからの出血が抑えられてしまい、自分が歯周炎を患っていると気づくのが遅れてしまいます。体のサインを見逃してしまうことは恐ろしいことです。
他にも血の巡りが悪くなることで免疫が抑制や、歯肉へ十分な酸素が届かなくなることでの歯周病菌の増加が報告されています。
(歯周病の菌は多くが酸素がない環境を好んで増殖します。)
また、
喫煙は口腔粘膜の乾燥を引き起こし口内の物理バリアを阻害してしまいます。
このように喫煙は歯の健康を大きく害する恐れがあるため可能な限り控えるべきでしょう。
プラークの量に差がなくてもタバコを吸う方はタバコを吸わない方に比べて歯槽骨の吸収量や歯周ポケットの深さ、歯肉の退縮が顕著であるとデータも出ています。とりわけ、歯周ポケットや歯肉退縮は上顎の口蓋側(上の前歯の裏側)に現れます。
歯の裏側は正面からではなかなか気づきにくいため、タバコを吸われている方は一度確認することをお勧めします。
その他の歯周病の身近なリスクファクターとしては
疲労・ストレス・低栄養があげられます。
蓄積されたプラークがこれらリスクファクターとあわさり壊死性歯周疾患という全身の発熱・歯肉の激痛・強い口臭・乳頭歯肉や辺縁歯肉の壊死を引き起こすこともあります。
また歯周病そのものが全身に影響を及ぼす危険因子でもあります。
歯周病の菌が唾液を介して気管に入ってしまうことで肺炎(誤嚥性肺炎)の原因となったり、血液を介して血管に入ってしまうことで動脈硬化や心筋梗塞を起こすといわれています。
歯周病に限った話ではありませんが、日々の生活でお体をお労りくださること。これが健康に過ごすために欠かせないものであります。
~終わりに~
明治時代、日本人の平均寿命は約45歳でした。
それが現代では日本人の平均寿命は男性が約81.歳、女性が約87歳と世界的な長寿国となっています。
しかし一方で、自身が支援や介護を必要とせず自立し元気でいられる期間-即ち健康寿命は厚生労働省の調査により男性が約72歳、女性が約74歳とされています。
これは男性は約9年、女性は約12年もの長い期間を健康上に問題があるなか過ごす確率が高いということです。
「病みながら生きる」「病と共存しながら生きる」といわれる現代日本におきまして皆様の健康寿命の伸長に貢献するため福島整骨院は今後も全力を尽くしていく所存です。
参考文献:特定非営利活動法人 日本歯周病学会 歯周治療の指針2015
参考文献:厚生労働省HP